バイデン米政権、イスラエル団体に制裁 ガザへの人道支援搬入を妨害
(CNN) バイデン米政権は14日、パレスチナ自治区ガザ地区へ向かう人道支援車列を妨害したとして、イスラエルの団体に制裁を科した。
米財務省と国務省が制裁を科したのは「Tzav(ツァブ)9」と呼ばれる団体。度重なる支援物資の妨害を理由に挙げている。
ヨルダン川西岸地区で暴力に及ぶ者を対象とした大統領令に基づく措置となる。米国は依然、ガザ地区の危機への対処に苦慮しており、人道支援関係者によると、現地の状況は紛争開始以降の8カ月で最悪の水準にあるという。
ツァブ9は動員解除された予備役や人質の家族、入植者でつくる団体で、ケレムシャローム検問所で支援車列を妨害する抗議運動を主導している。ケレムシャローム検問所はイスラエルで唯一機能しているガザ境界検問所。
団体名のツァブ9は「第9命令」を意味し、予備役招集の緊急動員通知のことを指す。
ケレムシャローム検問所付近は2月末、国際的な圧力を受けて封鎖軍事地域に指定されたが、その後もデモ隊は現場に現れ、警察の裏をかこうと試みていた。
米国務省のミラー報道官はツァブ9の構成員について、「何カ月にもわたって繰り返しガザに向かう人道支援物資の輸送の妨害を試みている。ヨルダン川西岸を含め、ヨルダンからガザ地区に向かうルート沿いの道路を封鎖するなどしており、時に暴力に及ぶこともある」と説明した。
ミラー氏はまた、イスラエル政府には「イスラエルとヨルダン川西岸を通過してガザに向かう人道支援車列の安全を確保する責任がある」と指摘した。
一方、ツァブ9は14日、声明でバイデン政権による制裁を「衝撃的」と評し、「戦時に支援物資が敵ハマスに渡るのを阻止しようとする家族にとどめを刺す」ものだと言及。「愛する人の奪還を目指す人質の家族」を顧みない対応だと批判した。