浮かび上がった容疑者の人物像、捜査員は困惑 トランプ氏暗殺未遂
「ユナボマー」事件を担当した元連邦捜査局(FBI)行動分析官、キャスリーン・パケット氏によると、クルックス容疑者の火力は多くの銃乱射犯に比べ控えめだったとみられる。乱射犯は通常、複数の兵器を所持してボディーアーマーを着用していることが多い。
「襲撃の用意を整えていたようには見えなかった」。パケット氏はそう語る一方、入手できる公開情報には限りがあるとも指摘した。
学校のアルバムに掲載されたトーマス・クルックス容疑者の写真/Obtained by CNN
また、犯行について説明する書き物を残すことが多い他の乱射犯のケースとは異なり、クルックス容疑者の寝室やインターネットから得られた手掛かりは今のところほとんどない。
クルックス容疑者の心理を解明しようとする専門家には歯がゆい状況で、2017年にラスベガスで60人を殺害した乱射犯、スティーブン・パドック容疑者と比較する見方も出ている。米国最悪の乱射事件となったこの事件から7年近くが経つが、捜査員はいまだにパドック容疑者の犯行動機を解明できていない。
クルックス容疑者の家族は調べに対し、表立って政治について議論することはなかったと証言。FBIやシークレットサービス(大統領警護隊)が17日に行った議会報告の記録によると、容疑者の自宅で回収された証拠は政治的価値観や思想に光を当てるようなものではなかったという。
FBIで犯人像の割り出しを担当していたメアリー・エレン・オトゥール氏はこれまでに収集された証拠を踏まえ、トランプ氏の集会がクルックス容疑者にとって「非常に魅力的」だった理由の一つは、集会が自宅のそばで開催されたからだとの見方を示した。
ただパケット氏は、犯行前に目立たない単独犯は捜査当局にとって「最も厄介な問題の一つ」だと述べ、クルックス容疑者の動機に関して性急に答え出すことを戒めた。
「彼の素性がどのようなものであれ、単純な話ではないと思う。もっと複雑はなずだ」「単純な説明ではなく、発見可能なあらゆる細部が必要になる」(パケット氏)