ネタニヤフ氏が米議会で演説、ガザ抗議デモを非難 「イランにとって便利な愚か者」
ワシントン(CNN) イスラエルのネタニヤフ首相は24日、米連邦議会で演説し、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦闘に抗議するデモを非難した。反イスラエルデモを「イランにとって便利な愚か者」と広く断罪した。
ネタニヤフ氏の米議会演説は、ガザ地区での戦闘が重要局面を迎える中で行われた。複数の米当局者からは、ハマスに捕らわれた人質の解放や紛争終結につながる合意の見通しについて希望的な観測が出ている。また、左派の間でネタニヤフ氏の戦闘遂行方法に不満の声が強まっている状況でもある。一連の戦闘ではパレスチナ人3万9000人あまりが死亡しており、ガザ地区は人道危機のただ中にある。
ネタニヤフ氏は1時間近い議会演説で強気の姿勢を打ち出し、「勝利を達成するまで闘う」と言明した。人質奪還の取り組みにも若干言及したものの、進行中の戦闘に焦点を当て、イランや国際刑事裁判所(ICC)、デモ参加者といった自身の敵に矛先を向ける場面の方がはるかに多かった。
米国では各地の大学キャンパスなどでハマスとの戦闘に攻撃するデモが行われており、ネタニヤフ氏の演説当日も米連邦議会の敷地の内外でデモがあった。このほか事情に詳しい情報筋によると、シークレットサービス(大統領警護隊)はデモ隊がネタニヤフ氏の滞在先となっている首都ワシントンのホテルに到達し、虫を放したり、銃を抜いたりしているとの情報を調査しているという。
ネタニヤフ氏はデモ隊を一絡げに扱い、「多くの者は悪の側に立つことを選んでいる」と主張。「彼らはハマス」や「レイプ犯、殺人犯を支持している」と述べた。
ネタニヤフ氏はガザ紛争への抗議デモを強く批判したが、バイデン米大統領もブリンケン米国務長官もデモの権利は認めており、パレスチナ支持のデモ隊には正当な不満があるとの見方を示してきた。もっとも、反ユダヤ主義に陥った言説については批判している。
ブリンケン氏は4月の記者会見で、ガザでの流血に関して人々が抱く「痛切な思い」は理解できると表明していた。
ネタニヤフ氏は米議会での演説で、イランが米国内でひそかにガザ紛争に関係したデモをたき付けようとしているとのヘインズ米国家情報長官(DNI)の最近の声明に言及。
「デモ隊にメッセージがある。同性愛者をクレーンから吊(つる)し、髪を覆わないとの理由で女性を殺害するテヘランの独裁者があなた方を称賛、宣伝、資金援助するとき、あなた方はイランにとって便利な愚か者になりおおせている」と述べた。
ただ、ヘインズ氏の声明では「デモに参加する米国民がガザ紛争への見解を誠実に表明していることは分かっている。その点は明確にしておきたい」とし、「今回の情報はそれと異なる内容を示唆するものではない」と付け加えていた。