トルコでの米海兵隊員襲撃、容疑者は反米掲げる青年組織のメンバー
(CNN) トルコ西部の港湾都市イズミルで米海兵隊員2人が集団に襲われて暴行された事件で、拘束された10人以上の容疑者はトルコ青年同盟のメンバーだったことが分かった。地元当局が明らかにした。トルコ青年同盟は反米を掲げる民族主義的な組織で、過去にも米軍要員を襲ったことがある。
米海軍の発表によると、当該の海兵隊員2人は現地時間の2日午後、イズミルで自由行動中に襲撃された。
現場を撮影した映像には、街頭のスピーカーから絶叫の声が流れる中、数人が力づくで2人の海兵隊員を押さえ付ける様子が映っていた。1人は何度も「ヘルプ!」と叫び、もう1人は群集が頭に袋をかぶせている。群集は続いて「ヤンキーは帰れ!」と繰り返し叫び始めた。
米海軍によると、近くにいた別の海兵隊員が助けに入り、襲われた2人を群集から引き離した。2人は近くの病院で検査を受けてけががなかったことを確認し、強襲揚陸艦ワスプに帰艦した。
米国とトルコは共に北大西洋条約機構(NATO)の同盟国だが、両国の関係はこれまでもしばしば緊張状態に陥ってきた。パレスチナ自治区ガザ地区での戦争が始まって以来、トルコのエルドアン大統領は声高にイスラエルを批判。ジェノサイド(集団殺害)を行っているとして非難している。
米海兵隊員の襲撃について、イズミル県は、地元警察が介入して容疑者15人を拘束したと発表した。
トルコ青年同盟のメンバーが米軍要員を襲撃するのは今回が初めてではない。
2021年、トルコ当局は米海軍の軍属1人の頭部にフードをかぶせたとして同盟のメンバー17人を逮捕した。ロイター通信が当時報じた。米国の中東政策に対する抗議行動だったとされる。
14年にも、米海軍の兵士3人がイスタンブールで配属された艦船を離れた際にトルコ青年同盟のメンバーに襲われた。この時も襲撃した側は兵士らの頭に袋をかぶせ、「ヤンキーは帰れ!」とのスローガンを唱えている。
トルコ青年同盟にとって、米軍要員の頭に袋をかぶせる行為は03年に発生した悪名高い「フード事件」に由来する。当時イラクに侵攻して間もない米軍は複数のトルコ人兵士を捕らえ、頭に袋をかぶせて60時間拘束した。
今回襲撃された海兵隊員らが乗艦していた強襲揚陸艦ワスプは、中東地域の緊張の高まりを受けて地中海東部を航行している。