イスラエル・ヒズボラ全面戦争なら死傷者数は「ガザ以上」、米国防長官が警鐘

（ＣＮＮ） オースティン米国防長官は２７日、ＣＮＮの単独インタビューに応じ、イスラエルがイスラム教シーア派組織ヒズボラとの全面戦争に踏み切った場合、「壊滅的」な影響が出ると警鐘を鳴らした。死傷者の数はパレスチナ自治区ガザ地区と「同等か、それを超える」規模に上る見通しだという。

オースティン氏はＣＮＮの番組で「レバノンとヒズボラ、イスラエルの間で全面戦争が起きれば、レバノン、イスラエル両国にとって壊滅的な事態になるだろう。またしても大勢の人が住む場所を追われことが予想され、死傷者数はガザ地区で目の当たりにしているのと同等か、それを超える規模になる」と述べた。

オースティン氏は、「外交解決」を求める米国の意向を改めて表明。イスラエル軍がレバノンに地上侵攻すれば、地域紛争に発展する恐れがあるとの認識を示した。

米国や主要同盟国は、外交のための時間を確保する２１日間の停戦を実現したとの見方を示し、イスラエルとヒズボラの全面戦争を阻止できる可能性を指摘していた。

だが、イスラエルのネタニヤフ首相は合意間近との報道を「不正確」と形容し、「総力を挙げて」ヒズボラへの攻撃を続けると言明。２７日午前に国連総会で行った演説では、軍事行動を続ける考えを明言し、「イスラエルの長い腕が届かない場所はイランに存在しない」と警告した。

停戦に向けた米主導の取り組みは失敗に終わったとみられる。ＣＮＮは先に、バイデン政権がイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦・人質解放合意をめざす取り組みをほぼ停止したと報じた。

イスラエルとヒズボラの最近の衝突が始まるきっかけとなったのは、イスラエルが北部国境付近の自宅を追われた避難民の帰還を公式目標に掲げたことだ。一帯に住むイスラエル人数万人はハマスによる昨年１０月のテロ攻撃直後、ヒズボラがロケット弾発射を始めたのを受け、避難を余儀なくされた。イスラエルはここ数日、ヒズボラ指導部を狙った一連の攻撃を開始。イスラエル軍のトップは今週、レバノン地上侵攻に向けて準備を進めていると明らかにしていた。