バイデン米大統領、シリア支援表明 アサド政権崩壊は「歴史的瞬間」
(CNN) 米国のバイデン大統領は8日、ホワイトハウスで演説を行い、シリアのアサド政権崩壊を「歴史的瞬間」であると同時に「リスクの瞬間」でもあると位置付けた。アサド政権崩壊後、バイデン大統領が発言するのは実質的に初めて。同地の過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)が再び台頭することを阻止するために、米軍がシリアで数十カ所の空爆を行ったことも発表した。
バイデン大統領は「長い間苦しんできたシリアの人々にとって、誇り高き国のためにより良い未来を築く歴史的な瞬間だ」と述べ、「同時にリスクと不確実性の瞬間でもある。次はどうなるのかという問題に我々全員が目を向ける中、米国はパートナーやシリアの関係者と連携し、彼らがチャンスをつかんでこのリスクに対応するため支援を行う」と表明した。
その上で、シリアの近隣諸国を支援するとともに、ISIS掃討作戦を続ける米兵を守ると強調。数日中に近隣諸国の首脳らと会談し、米政府当局者を同地に派遣すると述べた。
米国はISISの台頭を阻止する取り組みを優先するとバイデン大統領は述べ、「ISISが空白に乗じて再び安全地帯を確立しようとするのは明らか」とした上で、「我々がそうはさせない」と強調した。
具体的には、ISISの戦闘員が拘束されている施設の守りを固め、シリア国内でISISを狙った「精密攻撃」を行うとした。
米中央軍によると、その一環として8日、空軍のB52爆撃機やF15戦闘機、A10航空機などを使ってシリア国内のISISの拠点75カ所あまりを攻撃した。
一方、あと6週間あまりで就任する米国のトランプ次期大統領は7日、米国は関与すべきではないと発言。反体制派がシリアの首都ダマスカスを制圧した8日には、アサド政権の後ろ盾となっていたロシアとイランの国家弱体化の表れだと指摘した。
トランプ氏は「アサドは出国した。彼の保護者のウラジーミル・プーチン率いるロシアは、もはや彼を守ることに関心はない」とSNSに投稿している。