トランプ氏、連邦災害機関「FEMA」の廃止示唆 被災地訪問で対応批判
(CNN) トランプ米大統領は24日、ノースカロライナ州でハリケーン「へレン」の洪水被害を視察した際、米連邦緊急事態管理局(FEMA)を廃止する可能性を示唆し、同州は「民主党から見捨てられた」との認識を示した。
トランプ氏は今回、ロサンゼルス一帯が山火事に見舞われたカリフォルニア州も訪問する。連邦議会の共和党議員の間では、支出削減を求める保守派の意向と、両州の再建支援を誓うトランプ氏の公約とのバランスを探る作業が始まっている。トランプ氏が首都ワシントンを離れるのは20日の就任以来初めて。
トランプ氏は記者団の取材に応じ、ノースカロライナ州でのFEMAの取り組みについて「おそらく、この組織が機能不全に陥っていることを示す最たる例の一つ」と言及した。ノースカロライナ州はトランプ氏が3回にわたって勝利を収めた激戦州。トランプ氏は民主党の対応は拙劣だとして、自らのリーダーシップと対比しようと試みた。
そのうえで、近くFEMAを廃止して各州に直接資金を送り、災害救援活動の管理を州に委ねる可能性に言及した。
また、政治的に近い関係にあるマイケル・ワトリー共和党全国委員会委員長を起用して、民主党のジョシュ・スタイン・ノースカロライナ州知事とともに州再建の陣頭指揮に当たらせる意向も示した。ワトリー氏はノースカロライナ州出身。
ノースカロライナ州の問題を解決する方策を問われ、トランプ氏は「現時点ではFEMAのことは頭にない」と説明。ワトリー氏や共和党の議員3人の名前を挙げた。「州に問題がある時は、州がその問題に対応すべきだと思う。そのために州がある。州が自ら問題を処理するし、州知事が迅速に対応できる事柄もある」としている。
さらにFEMAには「とても失望させられた」と述べ、動きが遅く過度に官僚的で、連邦政府にとって費用が高くつく組織だとの見方を示した。
ノースカロライナ州でのトランプ氏の発言を受け、FEMAの当局者はその内容を理解する作業に追われた。事情に詳しい情報筋によると、トランプ氏の発言がFEMAの将来や現場の仕事にどのような意味を持つのか見極めようと、全国の職員が電話やテキストメッセージでやり取りしている状況だという。
FEMAのクリスウェル前長官はCNNに対し、FEMAの廃止や縮小を求めるトランプ氏の発言は、州レベルでも緊急対応に悪影響を及ぼす可能性があると指摘した。