米大統領取材の報道陣は「ホワイトハウスが決める」 記者会反発「まるでプーチン」
(CNN) 米ホワイトハウスが、大統領の代表取材を担当する記者を選ぶ役割をホワイトハウス記者会から剥奪(はくだつ)した。今後、大統領の同行取材に加わる記者やカメラマンはホワイトハウスが選別する。
代表取材は大統領専用機「エアフォースワン」やホワイトハウスの大統領執務室といった場所で行われ、テレビや印刷媒体、ラジオ、通信社の記者やカメラマンが交代で担当。取材した内容は電子メールで加盟各社に伝えられている。
ホワイトハウス記者会は1950年代に設置された独立組織で、報道機関数百社が加盟し、これまで(ホワイトハウスと連携しながら)代表取材を担当する記者団の選別を担っていた。
しかしキャロライン・レビット大統領報道官は25日の記者会見で「長年にわたり、どの記者が合衆国大統領に質問できるかはホワイトハウス記者会が決めてきた。それはなくなる」と述べ、「今後、ホワイトハウスの代表取材陣はホワイトハウスの報道チームが決める」と宣言した。
その上で、今後もレガシーメディアの参加は認めるが、「新しい声も歓迎する」と述べ、全米のストリーミングサービスやラジオ司会者といった新興メディアに言及した。その時期や、新しい代表取材のやり方に関する詳細は明らかにしなかった。
ホワイトハウス記者会には報道機関やテレビ局など約300社のおよそ800人が加盟。記者会見場で各社の記者が座る場所なども同会が決めていた。新会員は定期的に受け入れており、会員は3段階でランク付けされる。代表取材への参加は最もハードルが高い。
ホワイトハウス記者会のユージーン・ダニエルズ代表は声明を発表し、今回の決定について「米国での自由な報道の独立性が引き裂かれる」と指摘。「大統領を取材する記者を政府が選ぶことになる」と述べ、「自由国家で指導者が自らの取材陣を選ぶことがあってはならない」と強調した。
今回の変更について、ホワイトハウスは事前に同会に相談することなく発表を行ったとダニエルズ氏は述べている。
長年ホワイトハウスを取材してきたベテラン記者からも危惧する声が相次いだ。
ニューヨーク・タイムズ紙のピーター・ベイカー記者は「プーチン支配の初期にモスクワ特派員だった経験から、クレムリン(ロシア大統領府)が報道陣を掌握し、従順な記者しか取材できないようにしたやり方を思い出す」「会見場で自分に質問する記者を大統領が選別しないという原則は、何世代にもさかのぼって両党のすべての大統領が守ってきた。トランプは選別すると宣言した」とXに書き込んだ。
FOXニュースのジャッキー・ハインリッヒ記者もXへの投稿で、「これでは国民に権力は戻らない。ホワイトハウスに権力が与えられる」と反発している。