ミャンマー西部の人権状況に「重大な懸念」 国連
(CNN) ミャンマーを訪れていた国連人権理事会のキンタナ特別報告者は4日、宗教対立が続く同国西部ラカイン州の人権状況が悪化しているとして「重大な懸念」を示した。
キンタナ氏はミャンマー各地を6日間にわたって訪問した。同国当局がラカイン州の治安回復を図ろうと「過度の武力行使」に訴えているとされる問題について、「現時点で事実を確認できる立場にないが重大な懸念を抱いている」と述べ、独立機関による調査を求めた。
ラカイン州では今年6月、イスラム教徒の若者3人が仏教徒の女性を暴行、殺害したとして拘束され、1人が自殺、2人が死刑宣告を受けた事件をきっかけに、イスラム教徒と仏教徒の対立が深刻化している。
政府によると、これまでに約50人が死亡、家屋数千棟が破壊された。政府は同州に非常事態宣言を出し、軍を出動させている。民族間の和解を掲げるテインセイン政権にとって、大きな課題となっている。
キンタナ氏は、調査によって責任を明確化しなければ和解は不可能だと主張。「誇張やわい曲が空白を埋め、不信感と緊張がさらに強まることになるだろう」と警告した。同氏はさらに、同州での事件に関連して拘束されている国連スタッフ6人の釈放を呼び掛けた。
ラカイン州にはイスラム系少数民族ロヒンギャ族などが居住し、長年にわたりミャンマー軍から迫害を受けてきたとされる。