インドにはびこる少女の人身売買 社会復帰にも大きな壁
人身売買組織は貧しい小さな村々にも触手を伸ばし、結婚や仕事、食べ物で少女たちを釣り、インド各地の売春宿へと送り込む。多かれ少なかれ非人間的な扱いを受け、少女たちは心にも体にも深い傷を負っている。この施設に来て数週間まだ一度もしゃべっていない少女は、見知らぬ人を見るとおびえ、幼い子どものような行動を取る。
2005年、政府はインドでは毎年4万4000人の子どもが姿を消し、そのうち1万1000人は行方が分からないままだと発表した。また、売春をさせられた子どもの10人に3人以上はヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの性感染症や、婦人科系の問題を抱えているとの調査もある。
被害に遭う少女たちの多くは非常に貧しく、かつ女性差別の激しい農村で育ってきた。「少女たちが性的搾取や虐待の犠牲になりやすいのは、貧困だけが理由ではなく女子へのネグレクトや差別の問題も大きい」と、援助団体プラン・インディアの関係者は言う。プラン・インディアでは少女たちの就職や起業を支援するために職業訓練を行っている。
製パンの研修を受けている少女はうれしそうな顔で焼きたてのパンをオーブンから出した。「私たちのパンは周りの村ですごい人気なの。いつか町の大きなパン屋さんで働きたいな」
本記事は子どものための人権団体プラン・インターナショナルのデビンダー・クマール氏による特別寄稿です。