インドにはびこる少女の人身売買 社会復帰にも大きな壁
美容の短期特訓コースでは、女の子たちが化粧の基礎について学んでいた。アイシャドーや口紅をどの色にするかで大騒ぎしている。「美容師になりたい。このコースは大好き」と、ある女の子は言う。
だがシェルターで最年長の部類に入る現在20歳のビジャヤラクシュミさん(仮名)は、希望と絶望の間を揺れている。ここに来て1年、家族は帰宅を認めてくれない。
実際、救出された少女たちの多くは家族や地域から二度と受け入れてもらえない。たとえ戻れたとしても、偏見にさらされて普通の人生は望めない。本人もみだらな生活を送ったという罪悪感にさいなまれ、自尊心を完全に奪われてしまう。
周囲のサポートもないまま、貧困と重労働に一生苦しむ人も多い。再び身を売るしかなくなるケースもある。警察によれば、救出されても10人中8人近くが家にいられず、売春宿に戻るという。こうした女性は住民票もなく、公的福祉もろくに受けられない。
ビジャヤラクシュミさんは涙を流しながら「家に帰りたい」と繰り返した。両親はまたも彼女の帰宅を断ったのだという。
本記事は子どものための人権団体プラン・インターナショナルのデビンダー・クマール氏による特別寄稿です。