今年殉職したジャーナリストは88人、最悪はシリア
(CNN) 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(本部・パリ)は19日、取材中に殺されたジャーナリストの数が今年88人に達したとする年次報告書を発表した。
報告書によれば、取材中に戦闘や爆撃に巻き込まれたり、政府の命令や麻薬組織、イスラム過激派組織などによって命を奪われたジャーナリストの数は前年比33%増の88人に上った。統計をとり始めてから17年間で最悪の数だという。
国境なき記者団のクリストフ・デロワール事務局長は「今年、前例のない多数のジャーナリストが殺された理由は、主にシリアの内戦やソマリアにおける混乱、パキスタンにおけるタリバンの暴力にある」と述べた。
内戦が続くシリアのような国では、取材を試みるジャーナリストは困難や迫害に直面している。その一方で携帯電話のカメラやツイッターを使うアマチュアのジャーナリストたちが、紛争地の声を伝える一助となっている。
年次報告書によれば、12年に殺害された「市民ジャーナリスト」の数は47人で、11年の5人から急増した。シリアでは少なくとも、プロのジャーナリストが17人と市民ジャーナリスト44人、そして報道機関4人が取材中に命を落としたという。
「もし彼らの活動がなければ、シリアの一部地域では政権による完全な情報遮断が可能になり、誰も見ていない中で政府側の虐殺が行われたかも知れない」と報告書は指摘している。
ジャーナリストにとってシリアの次に危険な場所だったのがソマリアで、18人が死亡した。3位は10人が殺されたパキスタン、4位はメキシコ(6人)、5位はブラジル(5人)だった。犯罪組織や腐敗した政府によって命を奪われたという。