中国との領有権争いが生活直撃 フィリピンの漁師たち
「スカボロー礁の領有権は当然こちらにあるのに、中国が取り上げようとしている。政府が何とかするべきだ。政府だけで対応できなければ、米国の助けを求めるべきだ」と、フォロネスさんは主張する。
今のところ、一家はこの土地にとどまるしかない。ほかに行くあてがないからだ。妻と2人で海に潜って貝を取れば1日5ドルほどの収入になり、家族が食べていくことだけはできそうだという。
マシンロックから南へ約88キロ離れたスービックでも、漁師らが同様の危機に直面している。1991年まで米海軍の基地があった街だ。スカボロー礁に漁船が近づけなくなってから、郊外の魚市場では取引が半減した。
マシンロックやスービックを離れ、別の仕事を始める人もいる。フォロネスさんのいとこ(58)は30年続けた漁師を辞めて、バイクタクシーの運転手になった。1日の収入は多い時で2ドル前後。漁師時代は貯金もできていたが、今は毎日の生活がやっとだ。