「テレビ局が対立助長」、10局に放送中止命令 イラク
(CNN) イラク通信メディア委員会は28日、イスラム教スンニ派などのテレビ局が、同国北部で起きた衝突について「非倫理的」な報道で宗派間対立をあおったとして、10局に対し放送中止命令を出した。
放送中止を命じられたのは、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラと、少数派のスンニ派系住民向けの放送を行っていた8局など。バグダッド衛星テレビの記者は、この命令によって同局も一切の報道ができなくなったと述べ、「(報道すれば)直ちにイラク治安部隊に逮捕されるだろう」と語った。スンニ派の各放送局は、ヨルダン、ドバイ、エジプトなどイラク国外を拠点としている。
イラク北部では先週、政府軍とスンニ派の住民が衝突して100人以上が死亡。キルクーク近郊ではデモ隊の数十人が警官隊と衝突して死亡した。これをきっかけにスンニ派系の放送局は、シーア派主導のマリキ政権に対する批判を強めていた。
一方、イラク通信委員会は、キルクークの衝突について伝えた各局が、誤解を招くような誇張報道を行ったと述べ、死者の数を水増しして犯罪行為を助長したなどと批判した。
イラクでフセイン政権時代に勢力を誇っていたスンニ派は、2003年のフセイン政権崩壊に伴い少数派に転落。シーア派が実権を握る中で、長年にわたって宗派間の対立が続いてきた。