ラオス、脱北者9人を北朝鮮に強制送還 異例の措置の見方
(CNN) 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などは1日までに、韓国を目指した脱北者9人が潜伏先のラオスで身柄を拘束され、北朝鮮に強制送還されたことを明らかにした。
ラオスは中国経由で韓国へ向かう脱北者の主要ルートとなっていたが、今回のような措置は極めて異例とみられる。人権団体などはラオス側の対応を批判している。
ラオス政府当局者はCNNに今回の強制送還の理由についてのコメントを拒否した。ただ、ソウルのラオス大使館当局者はビザ(入国査証)を持たず、不法滞在していたと指摘。「北朝鮮住民と承知していたので、北朝鮮大使館に引き渡した。それが通常の手続きだ」と言明した。9人の現在の居場所については不明とした。
脱北者の支援団体は、9人を取り返そうとする北朝鮮の今回の強い決意を過小評価していたことが反省材料とも指摘している。
UNHCRは、9人は先月27日に中国へ送還されたと指摘。米国を拠点に脱北者らの支援に当たる非営利機関(NPO)幹部は9人は既に北朝鮮へ戻された可能性があるとし、拷問もしくは処刑を受けることへの懸念を示した。
9人の年齢は15~23歳。北朝鮮を出たのは数年前とされ、中国に脱出後は貧窮生活に耐え、北朝鮮要員の監視の目を避けながら韓国入りをうかがっていた。その後、中国に居住して脱北者らを助ける元脱北者の韓国人夫妻に会い、4年以上にわたって庇護(ひご)を受けていたという。
9人がラオスに到着したのは5月10日ごろだが、間もなく捕まった。今回の問題では韓国メディアも、ラオス内で9人を迅速に国外へ出す適切な対応措置を講じなかったと政府を批判している。