昨年のテロ件数、犠牲者数と共に過去最多 米報告書
「アイルランド共和軍」(IRA)やイタリアの「赤い旅団」など過去の過激派は無関係な民間人の犠牲者を減らすため行動に踏み切る前、警告を発していたが、現在のテロ組織にこの種の配慮はもはや見られないと指摘。犠牲者が増えれば増えるほど成功と判断していると説明した。
昨年発生したテロ事件の58%では爆弾と爆発物が用いられていた。事件は計85カ国で起きたが、パキスタン、イラクとアフガニスタン3カ国だけで件数の55%、犠牲者の62%を占めた。
最も過激な7つのテロ組織のうち、6つはアルカイダ系とし、大半のテロ行為はイスラム教徒が多数派の国で起きたとしている。
発生件数や巻き込んだ犠牲者数を組織別に見た場合、最多はアフガニスタンのイスラム武装勢力タリバーンの525件、1842人。ナイジェリアの過激派ボコ・ハラムが364人、死者1132人で次いだ。この他、イラクの「イラク・イスラム国」、インド共産党毛沢東主義派、ソマリアの「シャバブ」、アラビア半島のアルカイダ」に「パキスタン・タリバーン運動」などが続いた。
テロ問題の専門家は事件件数の増加について複雑な背景要因が絡んでいると指摘。弱体化して不安定な国家、汚職にまみれ機能しない政府、貧困と若年層に目立つ高失業率、殺傷能力が高い武器入手が容易な現状、自爆攻撃の多用、イスラム教スンニ、シーア両派間の抗争拡大や戦争でのテロ手段の増加などに言及している。