ソマリア海賊らの稼ぎ約4百億円 使途は麻薬、買春や不動産
犯行に必要な食事、飲み物などの経費は海賊の資金提供者が支払い、身代金から最終的に差し引かれる。身代金が将来の海賊行為の資金となったり、不動産購入、ソマリアなどでの嗜好(しこう)品である麻薬の一種チャットの取引や他の商売の資金になる場合もある。
乗っ取った船舶が運ばれる港では、コック、売春斡旋(あっせん)業者、弁護士や民兵組織も身代金の恩恵にあずかる。報告書によると、ソマリアのアルカイダ系過激派シャバブの支配地域で活動する海賊は寄港を許してもらう「開発税」も払っているという。
海賊への資金提供者は、身代金を国境を超えた密輸、資金洗浄や電信送金を通じて動かしている。他の犯罪活動の資金となったり、人身売買や民兵組織への融資としても使っている。
身代金をチャット取引の権益確保に使うことも目立つ。ソマリアの隣国ケニアではチャット取引への政府の監視が緩く、同国は多くのもうけが見込める供給国になっているという。
海賊行為は2011年以降、減少している。しかし、世界経済への悪影響は変わらず、年間の被害額は180億ドルともされる。海賊の出没海域での海上交通の減少、観光業を停滞させ、一部の地域社会にとって生命線でもある送金業務の停止などの弊害を生んでいる。