反タクシン派のデモ激化、財務省に突入 タイ
バンコク(CNN) タイの首都バンコクで25日、野党民主党が率いる反政府デモが激化し、デモ隊が財務省の建物に突入した。野党側はインラック政権打倒を訴えており、多数の死者を出した2010年の衝突以来の緊迫した状況が続いている。
人権団体のヒューマン・ライツ・ウオッチによると、財務省の建物はデモ隊に占拠され、一部は住民や外国メディアに対しても敵対姿勢を強めている。25日午前に警察本部前で行われたデモではドイツ人カメラマンが襲撃されたという。
デモはステープ前副首相の主導で3週間前から始まり、24日にはバンコクで約10万人が参加、25日はさらにエスカレートした。副首相は24日、「タクシン政権が一掃されるまで抗議運動はやめない」と宣言し、公務員にも参加を促していた。
一方、タクシン派も24日にバンコクのスタジアムで集会を開き、推定4万人が赤シャツ姿で集まった。
インラック首相は2006年の軍事クーデターで政権の座を追われたタクシン元首相の妹。反タクシン派は、兄の傀儡(かいらい)だとして批判を強めている。
タイでは地方を中心とするタクシン元首相の支持層と、バンコクのエリートおよび中間層が対立を繰り返し、2010年には軍によるタクシン派のデモ弾圧で90人以上の死者が出ている。
今回のデモの発端は、亡命中のタクシン元首相の帰国に道を開く恩赦法案を政府が通過させようとしたことだった。法案は11日に上院で否決されたが、デモはその後も激化する一方となっている。
これに対してインラック首相は連帯と和解、法の順守を呼びかけ、「政府は警察や治安当局に対し、国際的な慣行に基づく穏当な対応を指示した」とする声明を発表した。
今回の事態を受けて各国はタイへの渡航に関する注意情報を出し、バンコクのデモ会場周辺には近づかないよう呼びかけている。