満員電車で帰省、年に1度の再会――中国出稼ぎ労働者の春節
車内のほかの乗客も、天津から先への切符を持っている人は誰もいない様子。車掌はそんな乗客を車内に分散させ、3段ベッドに落ち着く乗客もいれば、スペースのある場所に押し込まれる乗客もいる。
中国人にとって、特に出稼ぎ労働者にとって、春節の帰省は欠かせない行事であり、家族と過ごせるのはこの時期だけという人も多い。「早く子どもたちに会いたい。1カ月や2カ月ではなく、丸々1年も会えないのだから。私たちの間は時間も距離も、遠く離れている」とシュウさんは言う。
シュウさん一家の状況は、中国の変化を映し出している。父の世代は村の近くで農業に従事していたが、公害と都市化の進展で農業は立ち行かなくなった。
シュウさんは教育が受けられなかったため、辛抱強く働き続けて家族を養ってきた。娘は工場で働き、息子は大学で物理学を学んでいる。