山奥の教室から見えた中国教育の伝統と未来
雲南省沙河(CNN) 中国南部・雲南州の騰沖から車を走らせること1時間。この僻地(へきち)に沙河小学校がある。CNN取材班が教室に入るなり「起立、気をつけ」という号令がかかり、これを合図に30人余りの生徒が一斉に起立、満面の笑みで私たちを迎えてくれた。
取材班は「ティーチ・フォア・オール」という学習支援ネットワークの一団に同行した。同団体は有志の教員と共に、恵まれない学校を訪問している。
見学したのは算数のクラス。授業のほとんどは一方的な講義形式だ。教師は暗唱ドリルを適宜活用しながら、足し算や引き算の基礎を教える。この間、生徒はじっと静かに耳を傾け、ときには口をそろえて解答する。
一糸乱れぬ暗唱と丸暗記教育には面食らったが、後日になってようやく得心がいった。暗唱と丸暗記は中国の伝統的な教育システムに深く根差したものだったのである。
沙河の教室での風景には、この伝統的な教育システムの持つ長所と短所の両面が集約されている。