山奥の教室から見えた中国教育の伝統と未来
中国の学校で学び、後に米国の金融街で成功を収めたジュンヘン・リー氏は「知識をベースにした指導法において中国の学校は優れている」との見方を示す。
生徒が早い段階で学ぶ算数や文法においては、とりわけ基礎知識が重要だからだ。自身も上海の公立学校出身であるリー氏は、学科を徹底的に教わることで「自己規律や労働倫理や気骨根性も育むことができる」と話す。
しかし、この伝統的な指導法には短所もある。講義と丸暗記ばかりを重視した結果、教室で意見交換する時間がほとんどない。
リー氏によれば、これはテストと大学入試の弊害だ。同氏は「私が受けた教育というのは次々に輪をくぐり抜けていくようなもので、自己を向上させたり自己発見に至るプロセスではなかった」と話す。
特に問題となるのは全国大学統一入試、通称「高考」である。中国の学校では、「高考」に備えて狭い分野に特化したテストを行い、学生の習熟度を評価する。「高考」が過酷な試験競争をあおり、ひいては激しく自己主張する社会の温床になっているという。