「過保護な乳母」でなく 禁煙の次は肥満対策を
公共の場での喫煙禁止を定める国が年々増加した結果、喫煙率も大幅に低下している。男性の喫煙率は1980年に全世界で41%だったのが、2012年には31%にまで減少した。
この動きに一役買ったのが、マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長だ。02年に市長に就任した同氏が喫煙禁止策を打ち出した際、国内から批判の声が上がっただけでなく、欧州からも賛同の声は聞かれなかった。当時、大都市で大々的に喫煙禁止を掲げるのは、前例がなかったのである。
しかし、それから数年以内に、パリ、ロンドン、ローマといった欧州の都市も同様の施策を講じた。そして今回、新たに中国が喫煙禁止に乗り出したのである。
ニューヨークにおける喫煙禁止の効果は、すぐに明らかになった。米公衆衛生誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・パブリックヘルス」によると、04年、心臓発作で入院する患者は3800人減少。医療費も5600万ドル減った。
過保護な乳母のようだとして、ブルームバーグ氏らを批判する声もある。人々から選択肢を奪っているという批判だ。
しかし、喫煙にまつわる膨大なコストを考慮すれば、正解は明らかだろう。喫煙者ですらその点は同意するかもしれない。