タイ治安部隊、反政府デモ拠点の排除を開始
バンコク(CNN) 反政府デモが昨年11月から続く政情不安にあるタイの警察は14日、反政府派が籠城(ろうじょう)する一部拠点で強制排除に踏み切った。
衝突など大きな混乱は起きず、数千人規模で出動した治安部隊は反政府派による占拠の範囲を縮小させるのみにとどまった。ただ、首相府近くでデモ参加者が爆竹を投げた際、記者1人が軽傷を負った。排除は15日も続行する方針。
治安維持の責任者はCNNの取材に、世論は「もうたくさんだ」との受け止め方をしていると指摘。反政府デモは平和的な抗議行動の範囲を越えているとし、政府機能を取り戻すために当局の介入が必要と主張した。
インラック首相の退陣などを要求するデモ隊は首都バンコク内外で一部の政府庁舎を封鎖して占拠、日常業務を麻痺(まひ)させている。
責任者はただ、排除が暴力につながることは予想していないとも説明。排除に踏み切る前、デモ隊と交渉する手段を講じていると述べた。
首相は事態打開のために2月2日に総選挙実施に踏み切った。しかし、野党民主党がボイコットし、多数の選挙区で反政府派が開票作業や有権者登録を阻止する事態となり、選挙成立の合法性にも疑義が出ている。
民主党議員は憲法裁判所に選挙無効を訴えたが、合法ではないとする根拠が不十分として却下されていた。