「中国の夢」、幻想か現実か

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もっとも、「中国の夢」がこれほど浸透したのには、政府の後押し以外にも要因がある。わかりやすさだ。

毛沢東思想や鄧小平理論、江沢民政権の「3つの代表」や胡錦濤前主席の「和諧社会」といった、歴代指導者のスローガンに比べても、「中国の夢」という言葉には、ごく素朴に庶民の胸に響くものがあった。習主席の夢は、少なくとも建前上は、人民の人民による人民のための夢でもある。

改革

汚職対策という面に限っていえば、習主席自身、このスローガンを有言実行したといえる。かつてないほど厳しく汚職を取り締まり、就任からわずか1年あまりのうちに、20人の政府高官を調査し処罰した。さらに「8項目の規定」「6項目の禁令」を採択、公務の簡素化を図るとともに、公費よるぜいたくを禁じた。

ただ、賄賂や官位売買、地上げ、権力乱用といった不正は、いまだ中国社会最大の課題となっている。依然として不正がはびこる中では、夢の実現どころか、人々の政府への不信の念が募る一方だ。

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