軍投入しスラム街を「占拠」、W杯開幕控え ブラジル
リオデジャネイロ(CNN) サッカーのワールドカップ(W杯)本大会の開幕を今年6月中旬に控えるブラジルのリオデジャネイロ州政府は26日までに、リオデジャネイロ市北部に広がるスラム街(ファベーラ)を牛耳る麻薬犯罪組織を掃討するため軍や海兵隊の兵士約2500人による攻略作戦に着手した。
同市は2016年に夏季五輪も主催する。
今回の軍兵士の投入は、W杯の安全運営を図る緊急措置の一環ともなっている。W杯は6月12日に開幕し7月13日まで続くが、治安当局者によると軍兵士はスラム街「コンプレクソ・ダ・マレー」を同月31日まで「占拠」し、治安維持に当たる。同スラム街の住民総数は約13万人。
武装する軍兵士はコンプレクソ・ダ・マレーの入り口に検問所を設置。ファベーラ内を徒歩や装甲輸送車で見回り、金属探知機や軍用犬で武器や麻薬の隠匿場所の摘発などを行っている。これに伴い、6回以上の銃撃戦の発生がこれまで報告された。
軍兵士の出動は、州政府が要請した。同ファベーラはリオデジャネイロの国際空港から数キロ離れた地点にあり、W杯開幕が近付き治安の確保が優先事項と判断したともみられる。州警察の警官数や装備品は不足しており、同市全域に警官を適切に配置する余裕がないことも反映している。