飽和状態の「赤ちゃんポスト」 中国の現状は
さらに1時間後、先ほどの2人の男性が後部座席に女性を乗せて再び現れた。
児童福祉院の職員や警備員が飛んでいくと、女性は、子どもには生まれつきの心臓病があって治療するお金がないと訴えた。職員が、まずは市の病院で提供している無料の医療サービスで治療を受けてみるよう促すと、男性たちは車に乗り込み去って行った。
続いて現れたのは、四川省から来たという21歳の男性。赤ちゃんを抱きかかえ、荷物のバッグを片手に歩いてきた。この男性が嬰児安全島に近づくやいなや、職員と警備員が制止。男性は打ちひしがれた様子で無表情のまま黙って元来た道を戻っていった。
CNN取材班が追いかけていって話しかけると、男性は赤ちゃんを抱いたまま泣き崩れた。聞けば、赤ちゃんは脳に水が溜まっているのだという。男性は泣きながら、「国に預ければまだ希望があるので預けてやりたかった。お金もないし、もうあらゆる手を尽くした」と訴えた。
なぜこの男性を追い返したのか児童福祉院の職員に尋ねると、規制で市外の赤ちゃんは受け入れることができないのだという。男性は約1600キロ以上離れた故郷の四川省まで戻り、そこで赤ちゃんを預けるように命じられた。