飽和状態の「赤ちゃんポスト」 中国の現状は
地元住民限定というこの規則は、嬰児安全島が開設されてから人数制限のために設けられたものだ。
さらに、赤ちゃんは1歳以下、午前9時から午後5時までの間のみ受け入れるという制限もある。警察官や職員、ボランティアが24時間体制で警備に当たっており、親がこっそり赤ちゃんを捨てることはできない。
各地に出現したこうした窓口をめぐり、中国国内では世論が二分している。多いのは、設置は赤ちゃんを捨てる行為を政府が容認するものであって許しがたいという批判だ。
そこで、嬰児安全島の周囲には、赤ちゃん遺棄を非難する政府のスローガンが掲げられている。厳密には不法行為にあたるという警告だが、嬰児安全島をめぐる制度はこの点に目をつむっているのが現状だ。
中国で最初に嬰児安全島が設置されたのは2011年のこと。国営新華社通信によると、今では全国32カ所にまで拡大したという。
中国福祉政策の生みの親の1人である王振耀(ワンジェンヤオ)氏は、「捨てられる赤ちゃんを人道的に扱うための方法を何とかして見つけなければならなかった」と述べる。当時、赤ちゃんはごみ箱や路上、病院の前などに捨てられており、当局として統一的な対策を講じる必要があった。