飽和状態の「赤ちゃんポスト」 中国の現状は
国連児童基金(ユニセフ)によると、2010年、中国の孤児数は71万2000人だった。ただ、福祉関係者は、政府が把握していない孤児まで含めると実際は数百万に上っていたとみている。
1980年代や90年代、捨てられる赤ちゃんのほとんどは女の子だったが、現在では障害や病気を抱えた赤ちゃんが遺棄されることが多い。
王氏は、嬰児安全島が政策として正しい方向を向いていたと考えているが、「親が赤ちゃんを育てようと苦闘している時は誰も助けない。それにもかかわらず、いったん赤ちゃんを捨てれば国が面倒をみなければならない」とも述べた。王氏はむしろ、赤ちゃんを抱えた両親の支援に国の財源を投入すべきだとの考えだ。
王氏によれば、中国では、わずか1万人のソーシャルワーカーで10万人の孤児をみているのが現状だ。ソーシャルワーカー1人で孤児10人の面倒をみている計算になるが、先進国ではこれが2対1の割合だという。
中国民生部でもこの問題を認識しており、2015年までにソーシャルワーカーの数を200万人に増やす野心的な計画を立てている。それまでは、貧困やその他の理由で子どもの世話を見切れない親は嬰児安全島に頼るしかないかもしれない。