ISIS、シリア北部の要衝に進攻 市街戦を展開
(CNN) イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」は5日までに、シリア北部のトルコ国境に近いクルド人の街、アインアルアラブ(クルド名コバニ)へ南東方向から進攻し、市街戦を開始した。現地の戦闘員とメディア活動家が匿名でCNNに語った。
ISISは5日、市東部の丘の東斜面から頂上に攻め込んだという。住民からの情報によると、市内各地で激しい攻防が続いている。地元の民兵組織「クルド人民防衛隊(YPG)」は、24時間のうちに86人の「テロリスト」を殺害したと発表。一方でYPGのメンバー17人が死亡したと述べた。
現地の情報筋は、住民らにとって街を脱出する「最後のチャンス」だと危機感を示した。
YPGのメンバーのうち、トルコ国境近くにいる部隊は越境して脱出しようと試みているが、敵陣に近い部隊は身動きが取れないまま夜明けを待っているという。ISISは夜間、暗視装置を使って攻撃を仕掛けてくるためだ。
ISISは数週間前からアインアルアラブへの攻撃を続け、トルコ国境以外の三方を完全に包囲していた。同市を制圧すれば、本拠地の北東部ラッカからトルコ国境まで、100キロ以上に及ぶ地域を完全に掌握することになる。米軍主導の空爆は5日も市東郊などで実施されたが、ISISの進攻を阻止するには至っていない。
米中央軍の発表によると、米国と同盟諸国は4日から5日にかけ、シリアで3回、イラクで6回の空爆を実施し、ISISの車両や攻撃拠点を破壊した。オーストラリア空軍も5日までに、イラクでの空爆援護に初めて参加した。