ローマ法王、麻薬密売増加を「メキシコ化」と表現 私信で
(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が私信のなかで用いた表現がメキシコ政府の反発を買い、バチカンが釈明に追われる出来事があった。
発端は、法王が友人に送った個人的な電子メール。このなかで、法王は母国アルゼンチンで麻薬密売が増えていることを「メキシコ化」という表現を使って嘆いた。
法王は「『メキシコ化』を回避する時間がまだ残っていればいいのだが。メキシコ人司教たちから話を聞いたが、ひどい状況だ」と書いたと伝えられている。
これを受けてメキシコのミード外相は「フランシスコ法王の私信に関して伝えられている発言について、悲しみと懸念を表明したい」と述べ、抗議文を送る意向を表明した。
バチカン高官は25日、フランシスコ法王が「メキシコ化」の表現を使ったことを認めるとともに、「メキシコの人々に不快感を与えたり、麻薬密売との戦いにおけるメキシコ政府の対応を過小評価したりする意図はなかった」と述べた。
また、問題の私信については「個人的で非公式な電子メール」であり、相手が先にこの表現を使ったのだと釈明した。
メキシコ政府は10年近くにわたって麻薬密売組織の撲滅作戦を続けており、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば6万人を超える死者が出ているという。
また、外交専門誌フォーリン・ポリシーによれば、メキシコの麻薬密売組織は最近、アルゼンチンにも活動の場を広げているという。