再会でよみがえる悲しみと後悔と――南北離散家族
アンさんは何よりも先に、妹に許しを請うた。自分が去った後、妹たちに家族の面倒を見させてしまったからだ。それは本来自分が負うべき責任だったと、アンさんは話す。
すると、その下の妹(72)がこう答えた。「お兄さんはいなかったけれど、偉大なる首領様が私たちを懐にかき抱き、大きな家を与えてくださいました」
妹の顔のしわや粗末な民族衣装から、とても苦しい生活を送ってきたことがうかがえた。だが会話を一言も漏らさず聞いている北朝鮮当局の監視員の前で、そんなことを認めるわけにはいかないのだろう。
「妹は実際の年齢よりずっと老けて見えた」と、アンさんは言う。
だが本当はどんな生活だったのか、あの場で語り合うことはできないと感じた。もう1人の妹がなぜ33歳で亡くなったのか、その理由も尋ねられなかった。