北朝鮮、海外への強制労働派遣で資金捻出 国連報告
(CNN) 国連は29日までに、金正恩(キムジョンウン)第1書記率いる北朝鮮指導部が数万人単位の労働者を中国やロシアなどの海外に送り、過酷な労働環境で働かせ賃金を吸い上げているとの新たな報告書を公表した。
強制労働に相当する慣行は近年さらに目立ち、被害者は増えていると指摘。1日に20時間働かされ、食事も満足に与えられず、常に監視下に置かれる事例もあるとしている。
報告書は、北朝鮮の人権状況の分析を担当するマルズキ・ダルスマン国連特別報告者が発表した。同氏は28日の記者会見で、北朝鮮が直面する財政、経済上の苦境を裏付ける措置と主張した。
これら労働者の派遣先は、北朝鮮と密接な関係を持つロシア、中国の他、アジアや中東、アフリカ、欧州の諸国に及ぶ。職種は鉱業、林業、繊維や建設など。報告書によると、月給は120米ドル(約1万4520円)から150米ドルとなっているが、雇用主は北朝鮮当局により高い額を支払っているとしている。
これらの派遣労働は国連が核問題絡みなどで北朝鮮に科した経済制裁をくぐり抜け、外貨を獲得する組織ぐるみの手法ともみられる。同報告書が引用した人権団体のデータによると、北朝鮮は労働者の海外派遣で年間12億から23億ドルまでの利益を得たともされる。大半は軍部、核開発計画や指導陣らに流入しているとみられる。