サウジ、シーア派指導者ら47人処刑 イランと非難の応酬も
ニムル師は2012年に逮捕され、宗派間の争いを扇動した罪などに問われていた。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、ニムル師への訴追内容が曖昧(あいまい)だとしていたほか、死刑判決についても「恐ろしい」と指摘。スンニ派が多数を占めるサウジ政府による、シーア派内の反体制派勢力への抑圧だとしている。
ニムル師は、サウジ東部のシーア派多数地域のモスク(イスラム教礼拝所)で、指導者を務めていた。2011年、北アフリカや中東諸国に広がった民主化運動「アラブの春」が勃発した際は、各地の反政府運動を公に支持した。
米国国務省は報道官を通じ、サウジに人権を保護し、平和的な抗議を認めるよう要請。同省のカービー報道官は、「我々は特に、ニムル師の処刑が宗派間の対立を悪化させるリスクがあることを懸念している。今は、この対立を緩和することが緊急に求められている時だ」と述べた。
EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相に相当)も今回の一斉処刑について声明を出し、特にニムル師の件は、「表現の自由や基本的な市民権、政治的権利」に関して懸念を招くものだと述べた。