フィリピン、北朝鮮の貨物船を差し押さえ 制裁決議受け
(CNN) フィリピン政府は5日、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議に基づき、同国北部ルソン島のスービック湾で北朝鮮の貨物船「ジンテン号」を差し押さえたことを明らかにした。
国営フィリピン通信(PNA)が大統領報道官の発言として伝えたところによると、貨物船の乗組員は国外退去を命じられる見通し。
国連安保理では2日、北朝鮮に対する新たな制裁決議がロシア、中国を含む全会一致で採択された。この中には、他国の領土や領海を通過する北朝鮮発着の貨物を全て検査対象とする条項が含まれている。
ジンテン号は、安保理が資産を凍結した北朝鮮の「オーシャン・マリタイム・マネジメント」社が管理する31隻の船舶のうちの1つで、乗組員21人は全員が北朝鮮籍とされる。
PNAによると、ヤシの実の種を積み、インドネシアから3日にスービック湾に到着した。CNN取材班は、港で貨物が降ろされ、トラックで運び去られる場面を目撃した。
フィリピンの沿岸警備隊によると、船内を調べた結果、緊急用ランプの故障や消防用ホースの設置義務違反、換気口の腐食、乗組員の劣悪な居住環境といった問題も見つかった。国連のチームが今後、改めて船内を検査する可能性もあるという。
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記は国連の制裁決議にもかかわらず、核開発計画をめぐって強硬発言を繰り返している。