ろくでなし子裁判 わいせつ物陳列無罪、データ配布で罰金刑
東京(CNN) 女性器をかたどったカヤックを作るなどして物議を醸した日本のアーティスト、五十嵐恵=ペンネーム・ろくでなし子=被告が9日、罰金40万円の刑を言い渡された。
五十嵐被告は2014年、自分の性器をかたどったカヤックを制作するため、クラウドファンディングで資金を調達。その際に、性器をスキャンした3Dデータを出資者にも配布した。
裁判所は、同被告が作った大きな黄色のカヤックを芸術作品として認める一方、データを配布した行為が「わいせつ電磁的記録頒布罪」に当たるとして、罰金刑を言い渡した。
本人はCNNの取材に対し、「少なくとも私自身を含む多くの女性たちにとって、性器はわいせつではない。判決は理不尽だ」と語った。
また、3Dデータは実物ではないとも主張。「日本国内のさまざまな場面で目にするポルノのような、性的刺激とは違う」と反論している。
日本には盛んなポルノ産業があり、露骨なアニメや漫画といった形でセックスの場面を目にする機会は容易に得られる。しかし無修正の性器画像などは刑法上のわいせつ物とみなされ、それを配布する行為は犯罪に当たる。
五十嵐被告は「ポルノで性器にぼかしを入れたセックス場面を見せても取り締まりの対象にならないのに、私の作品が罪に問われるのはおかしい」と話す。
カヤックは女性の体からヒントを得た一連の作品のひとつ。同被告はこれまでにスマートフォン・ケースやマスコットも手掛けてきた。女性器をかたどった地形のジオラマに福島第一原子力発電所の作業員を配置した作品もある。
問題となったカヤックについては「わいせつのプリズムを通さなければ女性の性が理解できないという、男性的発想を覆すのが私の狙い。裁判官にこの考えを理解していもらえなかったのは残念だ」と語った。