サウジ、国連に「猛烈な」圧力 ブラックリスト除外求め
ニューヨーク(CNN) イエメン内戦で子どもたちを殺害したとして、国連がサウジアラビア率いるアラブ有志連合を「ブラックリスト」に入れた問題で、サウジがリストからの除外を求めて国連に対し非常に強い圧力をかけていたことが、国連関係者の話で明らかになった。
有志連合は昨年3月以降、内戦状態のイエメンでイスラム教シーア派武装組織「フーシ」などによる政権掌握を防ぐため武力介入を行っていた。
だが今年5月、国連は2015年に内戦で死亡または重傷を負った子どもの数は前年比6倍の1953人に達したとの報告書を発表した。このうち、有志連合の攻撃が原因だったケースは60%に上ったとされ、有志連合諸国は武力紛争において子どもの権利侵害を行った集団のブラックリストに加えられた。
サウジと有志連合諸国はその後、ブラックリストから除外されたが、国連関係者によればその背景には国連との「完全な決別」をちらつかせたサウジの強硬姿勢があったという。サウジは国内のイスラム教聖職者に、国連は「反イスラム」だとするファトワ(イスラム法に基づいて下される裁断、勧告)を出させる可能性までちらつかせたという。
サウジからの圧力は「過去に例がないほど猛烈なものだった」とこの国連関係者は言う。
国連の潘基文(パンギムン)事務総長の報道官は、有志連合のブラックリストからの除外を認めるとともに、子どもが犠牲となった事例や件数についてサウジ当局と合同で再検討を行うことで合意したと述べた。
こうした国連の動きを受けてヒューマン・ライツ・ウォッチなど20の人権団体は、有志連合を「恥のリスト」に即時に戻すよう求める公開書簡を潘事務総長に送った。