米、パキスタンへの3億ドルの軍事支援を中断
ワシントン(CNN) 米国はパキスタンへの3億ドル(約300億円)の軍事援助の中断を決定した。米政府がテロ組織に指定するハッカニ・ネットワークに対する対応が不十分だと国防総省が判断したため。
国防総省のスタンプ報道官は、「ハッカニ・ネットワークに対してパキスタンが十分な行動を取ったことを(カーター国防)長官が確認できず、パキスタン政府に資金提供できなかった」と述べた。
この軍事支援は、各国の対テロ作戦の費用を米国が負担する「連合支援基金(CSF)」から行われているもの。アフガニスタンでの作戦や過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」との戦いに参加している東欧諸国やヨルダンもCSFからの援助を受けている。最大の受け取り国はパキスタンで、2002年以降で約140億ドル(約1兆4000億円)に達している。
スタンプ報道官は「この決定は、パキスタン軍が過去2年間にわたり払ってきた犠牲の重大さを減じるものではない」と述べた。
ハッカニ・ネットワークはタリバンやアルカイダと関係があり、パキスタンの部族地域が広がるワリジスタンに拠点を置く。国境を越えたアフガニスタンでも活動している。
今回、支払いを中断したのは2015年会計年度予算でパキスタン向けに認められた10億ドル(約1000億円)の支援の未払い分。16年会計年度予算には計9億ドル(約900億円)が計上されており、このうち3億5000万ドル(約350億円)についてはハッカニ・ネットワークへの十分な対応が支払いの前提となっている。