対ISIS、モスル奪還の決戦迫る イラク軍を現地取材

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ニネベ州での作戦を統括するイラク軍のジョボウリ大将(右)

ニネベ州での作戦を統括するイラク軍のジョボウリ大将(右)

ジョボウリ大将が一番心配しているのは、モスル市内に少なくとも100万人残っている住民たちの安全だ。ISISは民間人を「人間の盾」として使う戦略で知られる。

この場所からそう遠くない荒野の真ん中に、ISISから逃れてきた避難民が暮らす仮設キャンプがあった。砂漠を吹き抜ける熱い風で、何もかも砂まみれだ。

孫娘の腕につかまった年老いた女性は、ISISに殺された息子の写真を持っていた。次々と案内されたテントの中には生気のない、脱水症状の乳幼児たちがいた。子どもたちは、最後にシャワーを浴びたのがいつだったか思い出せないという。行く先々で耳にするのは「のどがかわいた」と訴える声だ。

ここにはきれいな水がない。唯一の井戸から引かれた水を飲んで体調を崩す人が続出している。1000人以上の避難民に対してトイレは2カ所。1日に2回の食事は豆ばかりだ。

国際機関やイラク政府が援助を約束しているが、前線から近過ぎるために物資が届かない。本格的な戦闘に備えて避難所を空けたり支援物資を備蓄したりしておく方針のせいで、ここの人々はさらに悲惨な生活を強いられている。

支援団体によると、このうえモスルから100万人の住民が逃れてくれば「今世紀最大の人道危機」となる恐れがある。

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