瓦礫の町で挙式、妹守って命落とした姉 イタリア地震の明暗
イタリア・アクアサンタ・テルメ(CNN) 大地震で壊滅的な被害が出たイタリア中部の震源地に近いアクアサンタ・テルメの町で、1年以上前から結婚式の準備をしていたカップルが28日、予定通りに挙式した。今回の地震では多くの町が瓦礫と化し、これまでに291人の死亡が確認されている。
結婚式を挙げたのはラモン・アダッツィさんと妻になったマルティナさん。この日のための準備は完璧だった。1年以上も前から入念に計画を立て、ウェディングドレスもスーツも会場もすべて手配済みだった。
ところが式の4日前になって大地震が発生。会場になるはずだった教会は祭壇ががれきに覆われれ壁にはひびが入り、16世紀のフラスコ画も粉々になった。建物を使うことは不可能だった。
それでも式は中止しなかった。
最初はショックを受けたという2人だが、「それでも結婚を祝いたかった。私たちにはほかのことを考える瞬間が必要だから」とラモンさん。インスタグラムに投稿した写真には、「悲しみの中にあっても喜びの瞬間を持つことが大切。自分たちの幸福を分かち合わなければ」と書き添えた。
まだ余震が続く中、町の広場に会場を移して、山の緑と崩れかけた建物をバックに行われた挙式では、ブラジルやカナダなど遠方からの列席者も含めて数十人が2人の門出を祝福した。