米政府、ロシアとのシリア停戦協議を停止
ワシントン(CNN) 米政府は3日、シリア停戦をめぐるロシアとの二国間協議を停止すると発表した。
米国務省のカービー報道官が声明を出し、「軽い決断ではない」と述べた。ホワイトハウスのアーネスト報道官は同日の記者会見で協議停止に言及し、「ロシアに対する全員の忍耐が尽きた」と語った。
アーネスト氏は、ロシアが「一連の約束をしながらそれを守る気配を見せず、信用を失った」と非難。ロシアと同国が支援するシリア政権はともに「爆弾で市民を服従させようとしている」との見方を示した。
政権軍と反体制派の争いが続くシリアでは先月、米国とロシアの仲介でいったん停戦合意が成立したものの、まもなく事実上崩壊した。ケリー米国務長官は先週、ロシアがシリア北部アレッポへの攻撃停止と停戦の復活に向けてただちに行動しなければ、同国との協議を打ち切ると警告していた。
米政府は声明で、ロシアとシリア政権に停戦を守る意思がないことは、民間人地域に対する攻撃の激化や病院など重要施設への狙い撃ち、人道物資の配達を妨げる動きからみて明らかだと断じた。
米国とロシアは過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」やシリアの国際テロ組織アルカイダ系武装組織「ヌスラ戦線」に対する軍の共闘態勢に向け、スイスのジュネーブに合同センターを設置することで合意していた。しかし、センターの稼働は戦闘停止と物資の配達が7日間以上続くことが条件とされたため実現に至らず、米国はジュネーブへ派遣した軍民の要員を帰国させることになったという。