米大使館のエルサレム移転、5月にも発表か 国際社会は警告
エルサレムではパレスチナ人とイスラエル人の衝突も再三起きており、最近ではパレスチナ人運転のトラックがイスラエル兵士の集団に突っ込み、4人を殺害する事件があった。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は米国での新政権発足を控え、大使館移転は和平達成の機会を致命的に後退させるとの危機感を盛り込んだ書簡をトランプ氏に送付。最近の演説でも、「エルサレムの地位問題を変更させるなどの声明や立場表明は我々が到底受け入れられない一線である」と釘を刺していた。
ケリー米国務長官も先週、米CBSテレビの取材に、エルサレムへの大使館移転に踏み切れば「パレスチナ自治区のヨルダン川西岸やイスラエル国土のみならず、中東全域を巻き込んだ暴力などの連鎖が確実に起きる」と警告していた。
米連邦議会ではエルサレムへの大使館移転を求める法案をこれまで可決しているが、歴代の米大統領はこれを拒否している。エルサレムの地位問題はイスラエルとパレスチナ側の間の最終的な和平合意の中の交渉事項というのが理由となっている。
欧州の米同盟国などは米大使館のエルサレム移転が実施されても、その設置場所次第で意味合いが異なってくるとも指摘。仮に西エルサレムに置かれた場合、パレスチナ人がイスラエルに併合されたと認識する東エルサレムの場合より衝撃度が緩和されるとも分析している。