ムスリム女性らがテロ現場で黙祷、犠牲者に寄り添う 英
(CNN) テロ事件の現場となったロンドン中心部のウェストミンスター橋で26日、イスラム教徒の女性のグループが支援者などと手をつないで一列に並び、テロの犠牲者に黙祷(もくとう)をささげた。事件直後の現場で撮られたイスラム教徒とみられる女性の写真をめぐってネット上で批判的な声が上がる中、同じイスラム教徒の女性たちが犠牲者への哀悼と連帯を示した形だ。
女性たちの多くは平和を象徴する青い衣服を身に着け、国会議事堂のビッグベンが午後4時を告げる鐘を鳴らすと、5分間黙祷した。
今月22日に起きたテロの実行犯であるカリド・マスード容疑者(52)は、運転していた車でウェストミンスター橋を歩く観光客を次々とはね、国会議事堂の外で車から降りると、警官を刃物で殺害した。同容疑者は警察に射殺された。
事件では4人が死亡。数十人に上る負傷者が出た。ロンドン警視庁は、これまでに12人を逮捕したと発表している。
今回、イスラム教徒の女性の集まりを企画したのはトランプ米大統領の就任に抗議するデモ行進を運営した「ウィメンズ・マーチ・オン・ロンドン」という団体だ。企画は、テロ発生直後のウェストミンスター橋を撮影した1枚の写真がソーシャルメディア上で物議を醸す中で実現した。
その写真には、襲撃に遭って路上に倒れたとみられる人の横を、携帯電話を見つめながら通り過ぎる女性が写っている。女性はイスラム風のスカーフを頭に巻いている。写真はネットに公開され、一部のユーザーからは負傷者に対して女性が無関心に見えるのを批判する意見が出ていた。
この女性は24日、反イスラム的な事象を報道するメディアを通じて匿名で声明を発表。自身に対する批判は憎悪と外国人嫌悪に基づいたものだと指摘したうえで「あの瞬間、頭にあったものは悲しみと恐怖、そして不安だ」「写真からは分からないが、現場に居合わせた別の人と連絡を取っていた。状況を把握しようと努め、助けになれないか考えていた。(中略)私の思いはテロの犠牲者とその家族とともにある」と語った。
写真を撮影したカメラマンも「同じ場面で撮った別の写真では、彼女は本当に取り乱している。(中略)個人的にはどちらの写真も困惑しているようにみえる」と述べ、女性を擁護した。