デモでバイオリン弾く青年、催涙ガスにも動じず ベネズエラ
(CNN) 激しい反政権デモが続く南米ベネズエラで、デモ隊と治安部隊が衝突するさなか、一心にバイオリンを弾く若い男性の映像が9日までに公開され、話題を呼んでいる。
男性は20年前半とみられるが、名前は不明。国旗が描かれたヘルメットを着けて路上に立ち、ベネズエラ国歌を演奏している。
周囲ではデモ隊が治安部隊に向かって火炎瓶を投げつけている。男性を保護するように盾を掲げた参加者の姿もある。
同国の独立系メディア「エフェクトコクヨ」の映像ジャーナリスト、イバン・エルネスト・レイジェス氏がこの場面を撮影し、ツイッターに投稿した。
レイジェス氏は最初にバイオリンの音色を耳にした時、スピーカーからの音だと思ったが、「振り返るとこの青年がいた」という。群衆のなかでいったん見失ったものの、約30分後にまた見つけた。
「爆弾や催涙ガスが飛び交ってデモが弾圧されるなか、かれはバイオリンを弾き続けた」と、同氏は話す。絶えず演奏していたため、話しかけることはできなかったという。
同国では最高裁が3月末、議会の立法権を奪い取る決定を下したことをきっかけに、マドゥロ政権の独裁化に抗議するデモが広がった。当局によると、デモや暴動による死者は36人、負傷者は750人余りに上っている。