中国、海底に巨大観測システム敷設へ 南シナ海など
香港(CNN) 中国が複数の国や地域と領有権を争っている東シナ海と南シナ海で、巨大な海底観測システムを敷設する計画を打ち出した。専門家はこのシステムについて、外国船の動きを監視する目的で使われる可能性も指摘している。
国営中国中央テレビ(CCTV)によると、観測ネットワークは20億人民元(約320億円)を投じて敷設する計画。長期的な観測データを取得し、海洋環境調査のための実験を支えることが目的だとCCTVでは報じている。
南シナ海では複数の国が領有権を争い、東シナ海では諸島の領有権を巡って中国と日本の緊張関係が高まっている。
オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のカール・セイヤー教授によると、中国の海底観測システムに科学研究以外の目的があることを示す根拠は、今のところは存在しない。それでも中国は、これで南シナ海に対する一方的な領有権の主張を一層固めることになると同教授は指摘。「海底ケーブルが領有権争いのある海底に敷設されたり、中国の人工島の施設に接続されたりすれば」、他の国が反発を強める可能性もあると予想する。
CCTVの報道では、上海にある同済大学の海洋科学者が、「海洋力を公海およびグローバルに到達させる必要がある」と述べ、もう1人の研究者も「国防」へのメリットに言及した。
セイヤー教授は中国の狙いについて、「海上の船舶や潜水艦の動きを検知できるセンサーを設置する目的で、この海底ネットワークのカバーストーリーを利用するかもしれない」と分析している。