(CNN) 過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が「首都」と称してきたシリア北部の都市ラッカ。米軍の支援を受ける反体制派の合同部隊などが奪還に向けて包囲を固めるなか、ISISの支配にもほころびが出始めているようだ。現地でひそかに撮影された映像を、CNNが独占入手した。
市場は買い物客でにぎわい、通りには車が絶えず行き交う。一見ごく普通の都市に見えるが、戦火はすぐそばに迫っている。沿道に防水シートが張ってあるのは、上空の無人機から戦闘員の動きを隠すのが目的だ。建物の外には、いざという時に身を守るための土嚢(どのう)が積まれている。
ISIS支配の終わりが近づいている気配は、活動家らがこのような映像を撮影できたこと自体が物語っている。ISISはこれまで電話やカメラを禁止し、違反者には残忍な罰を与えてきた。市内の様子を撮った映像をこうして外へ流すことなど、従来は考えられなかった。
カメラがとらえた多くの場面からは、ISISが混乱し弱体化する一方で、市民が大胆な抵抗を示し始めた様子がうかがえる。
ロシア系の戦闘員2人が何やら空爆について話している。「行ってみたら攻撃は始まっていた」「空爆が丸一日続いている」といった言葉が聞こえる。
ベルギー人戦闘員が店先で、迷彩柄か無地のカーキかとスラックスを選んでいる。
チュニジア人の行方を探すエジプト人の姿も映っていた。ISISという得体の知れない怪物の、退屈な日常が垣間見えるようで興味深い。