ISIS、パキスタンで中国人教師2人殺害か
(CNN) 過激派組織「イラク・ シリア・イスラム国(ISIS)」は10日までに、メディア部門の「アマク通信」を通じ、パキスタン南西部バルチスタン州マストゥングで拘束していた中国人語学教師2人を殺害したと発表した。中国当局は殺害に関する一連の報道をめぐり、「深刻な懸念」を表明している。
治安当局幹部は先月CNNに対し、中国人の男女2人が5月24日、語学教室に向かう途中に同州クエッタで武装集団に拉致されたと明かしていた。
ISISは犯行声明のほか動画も公開。芝地のような場所で、銃撃を受けた2人の遺体から血が流れる様子が収められている。
中国外務省の華春瑩報道官は9日、声明で「中国はあらゆる形の民間人拉致、あらゆる形態のテロや過激な暴力行為に反対する」と表明。パキスタン外務省は、「クエッタで拉致された中国人2人の殺害に関する報告を確認中」と述べた。
パキスタン軍は8日、今月1~3日にムストゥングで展開された作戦で、ISISとつながりのある12人のテロリストを殺害したと発表したが、拉致された中国人教師には触れなかった。
今回の殺害は中国による海外進出や国際的影響力の拡大にまつわるリスクを浮き彫りにしている。
中国国営の英字紙「環球時報」は、海外在住中国人の保護が国家安全保障上の新たな深刻な課題になっていると指摘。論説で「中国の国際的影響力が拡大するなか、テロ組織は身代金や騒ぎを起こす目的で中国人を標的にしている。中国人が拉致される事例は増加している」と述べた。
パキスタンでは2015年、シルクロード経済圏構想「一帯一路」の一環として、460億ドル(現在のレートで約5兆円)規模の投資計画「中パ経済回廊(CPEC)」が発表された。これ以来、パキスタンに移住する中国人の数は増加している。