トランプ米大統領の安保戦略は「冷戦思考」 中国が反発
香港(CNN) 米国のトランプ米大統領が18日に発表した「国家安全保障戦略(NSS)」で中国を競争相手と位置付けたことに対し、中国側は「冷戦思考」を捨てるべきだと反発を示している。
中国外務省の華春瑩・副報道局長は19日、米国に対して冷戦思考や「ゼロサムゲーム」の発想を捨てるよう要求。それができなければ他国だけでなく、米国自体にも害が及ぶことになると警告した。
華氏はさらに「中国は自国の主権と安全、発展の権利を断固として守る」と強調。「だれであろうと、中国が自国の利益を損なう事態を受け入れようとは夢にも期待するべきではない」と述べた。
トランプ氏は先月のアジア歴訪で中国を訪れた際、習近平(シーチンピン)国家主席と互いを称賛し合い、緊密な関係を確立したかに見えた。だが香港・嶺南大学の張泊匯教授は、トランプ氏のNSSはこの関係が「死んだ」ことを示すと語る。
トランプ氏と習氏の関係強化の土台となったのは、核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮への対応で連携する姿勢だった。しかし北朝鮮は中国や米国の圧力に応じる気配を一向に見せず、先月末には新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。
また経済面でも、通商、知的財産問題で中国を国際ルールに誘い込むという長年の課題は解決の見通しが立っていない。
米シンクタンク、外交問題評議会のリチャード・ハース会長は「NSSの内容は、中国やロシアを我々が望むような国際体制に組み込めるという考えを否定しているようだ」と指摘。トランプ政権は特に経済面で、中国をいわば問題児、あるいは競争相手と位置付ける方向に転換したとの見方を示す。