反体制派支配地から重体患者の救出始まる シリア首都近郊
(CNN) シリア政府軍に包囲されて人道危機が深刻化している首都ダマスカス近郊の反体制派支配地域から、重篤な患者を避難させる活動が始まったことが28日までに分かった。
シリア赤新月社と赤十字国際委員会は26日にツイッターを通し、まず東グータ地区から第1陣が救出されると発表していた。
国連当局者らが先月指摘したところによると、この地域では子どもたちの栄養失調が2011年の内戦本格化以降で最悪のレベルに陥り、緊急の医療支援を必要とする住民数百人が閉じ込められている。赤新月社によると、患者の救出はシリア政府との長期にわたる交渉の末、実現にこぎ着けた。
米国の非政府組織(NGO)、シリア系米国人医療協会(SAMS)は声明で、対象となる29人の患者のうち4人をすでに避難させ、残る25人も数日中に搬送する予定だと述べた。
29人は心臓病やがん、腎不全、血液疾患などの患者で、18人が子ども、4人が女性。包囲地域の病院ではできない高度な手術を必要とする患者もいる。
SAMSは一方で、医療支援を必要とする重体患者は現在641人いると指摘し、このグループはほんの一部にすぎないと強調した。医療スタッフが不足し、医師1人当たりの住民は4000人近い比率になっているという。
SAMSによると、東グータではここ2~3カ月で少なくとも17人の患者が適切な治療を受けられずに死亡した。