モルディブで政情不安、大統領が非常事態宣言 最高裁と対立
(CNN) インド洋の島国モルディブで最高裁判所と政府の対立が深まって政情不安に陥り、ヤミーン大統領は5日、15日間の非常事態を宣言した。
非常事態宣言に基づき、容疑者らを逮捕・拘束する権限はヤミーン大統領が握る。大統領府の声明では、「特定の権利は制限されるが、一般的な移動やサービスやビジネスは影響を受けない」と強調。大統領は、「モルディブ国民と、モルディブ在住および訪問中の外国人は、全員の安全を保証する」とした。
同国では最高裁が先週、政治犯の釈放と、選挙で選ばれた国会議員の復職を命じた。実現すれば、国会は野党が過半数を制することになる。しかしヤミーン大統領は、命令に従うことを拒んでいた。
外務省の発表によると、司法長官は4日、司法当局に対して憲法を守るよう指示した。最高裁が大統領の弾劾(だんがい)を言い渡す可能性もあるとしていた。
報道によれば、5日には首都マレにある最高裁の建物に、国防軍が突入した。元司法長官によると、治安部隊は最高裁の建物を外部から封鎖しており、裁判官らが食料を確保できない状況に陥っているという。
家族によれば、ガユーム元大統領も5日に拘束された。同氏はヤミーン現大統領の親類に当たり、2008年まで30年間、同国の実権を握っていた。
野党支持者は政府に対して裁判所の命令に従うよう求める抗議運動を展開。国際社会に対しても、同国政府に圧力をかけるよう訴えている。
米国務省は、モルディブ最高裁の決定を支持すると表明。中国や英国、インドなどは、モルディブへの渡航に関する注意情報を出している。