国際刑事裁判所、フィリピン大統領の麻薬戦争巡り予備調査
(CNN) 強硬な麻薬撲滅政策を進めるフィリピンのドゥテルテ大統領に対し、国際刑事裁判所(ICC)が捜査の必要性について判断するための予備調査に着手した。ロケ大統領報道官が8日、ICC検察局から通告があったことを記者団に明らかにした。
ロケ報道官は、「人道に対する罪を犯したとして非難されることに大統領はうんざりしているので、今回の予備調査も歓迎すると述べていた」と話し、ICCの予備調査は反論の好機と受け止めていると説明。ICCの行動は時間の無駄であり、大統領と敵対する者が大統領の体面を汚す目的で後押ししていると主張した。
ドゥテルテ大統領の麻薬戦争に対しては、大規模な人権侵害を指摘する声が以前から上がっていた。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの推計によると、麻薬戦争によって命を落とした人は、2016年6月以来で1万2000人に上る。一方、フィリピン政府は麻薬戦争の死者を3900人前後と発表している。
アムネスティ・インターナショナルは昨年10月、フィリピン警察による摘発や超法規的殺人について「人道に対する罪に相当する可能性がある」と指摘。先月には、警察が何の責任も問われずに行動することを許されていると批判、「指揮する立場にある者も含め、加害者全員の罪を問わなければならない」としていた。
CNNフィリピンによれば、ICCは弁護士のジュード・サビオ氏による2017年4月の告発を受け、ドゥテルテ大統領の麻薬戦争に関する調査を開始した。
サビオ氏は8日に発表した声明でICCの対応に歓迎を表明し、これはドゥテルテ大統領に対する「正式な犯罪捜査の序章」だと強調した。